2013年4月11日木曜日

【国内旅行】いにしえの都をたずねて『南朝の都・吉野』


43()の昼、近鉄奈良駅の前にあるセブンイレブンでおにぎりを買い、1216分発の大阪難波行きの急行電車に乗り込む。
車内は西日本で一般的な転換クロスシートで、2席に1人ずつ埋まっている具合である。
列車は定刻で発車し、まもなく地下区間から地上に出ると、平城京の復元を眺めながら大和西大寺に到着した。

大和西大寺では5分の乗り換え時間があったが、ホームに書かれた行き先案内板の行き先がわからない。
ひっきりなしに電車が到着し、自分の乗るべき電車がどれか分からなかったが、駅員に聞いてようやく分かった。

大和西大寺を1226分に発車した橿原神宮前行き急行電車は、すでに各駅停車の区間に入っており、一駅ごと丁寧に停まって行く。
穏やかな天気の下で、のんびりとした車内は眠気を誘った。
うとうととしていると、30分ほどで終点の橿原神宮前に到着した。
ここでは3分の乗り換え時間で、吉野行きの電車に乗り換えるのだが、橿原線と吉野線のホームは思いの外、遠くにあり危うく乗り遅れるところであった。
時刻表検索では歩く速度「普通」に設定しているが、年寄りなら間に合わないだろうと思った。

無事に橿原神宮前駅での乗り換えを終え、1258分に発車の急行吉野行きに乗った。
これまた大和西大寺から橿原神宮前までの橿原線と同じように、「急行」というのは名ばかりで、すでに各駅停車の区間に入っていた。
近鉄のレール幅は標準軌の1435mmが一般的だが、この吉野線を含む南大阪線系統はJRと同じ1067mmの狭軌が採用されている。
これは関西本線と連携して、秋田杉や木曾桧と並び日本三大美林のひとつである吉野杉の貨物輸送が行われたからである。



(近鉄「吉野」駅)


今度は単線の線路を列車交換のために幾度となく長時間停車し、1時間近く電車に揺られて1352分、吉野駅に到着した。
ここから奈良交通の臨時バスに揺られ、中千本公園へ。
運賃350円でICカードリーダーがあったのでSuicaをタッチしたら、「ピー」と鳴って運転手さんに「Suicaはまだ使えないんですよ」と言われてしまった。
やはりバスへの導入はもう少し時間がかかるようである。

吉野は、紀伊半島の中部に位置し、奈良盆地の南に位置する。
高地・盆地・山岳地帯が併存する。
口吉野は吉野川流域、奥吉野は十津川・北山川流域である。
吉野川は紀ノ川となって紀伊水道へと流れ下り、十津川と北山川は熊野川となって熊野灘へ注いでいる。
熊野地方(三重県南部から和歌山県南東部まで)と並ぶ多雨地帯であり、台風銀座でもある。
サクラの名所としても知られるが、多くは吉野の名を冠したソメイヨシノではなく、ヤマザクラの類である。
2004年には、吉野・大嶺を含む紀伊山地の霊場と参詣道が、ユネスコの世界遺産に登録された。


(吉野の桜)


中千本公園で降りると、気温は5℃と肌寒かった。
桜はまだ咲き初めで、地元の人が言うには4月中旬が見頃だという話であった。
福島市にも、写真家・秋山庄太郎が「福島に桃源郷あり」と紹介した花見山公園があり、こちらは本当に美しく福島に住み始めてから毎年見に行っていたが、古文でも出てきた吉野山の桜はさぞかし美しいのだろうといつも思っていた。
そこで満開ではなくとも良いので今回足を延ばしてみたわけだが、花見山公園よりもスケールが大きく、さらに街並みが整備されており、南北朝時代の南朝をイメージすることができた。
陸奥国の花見山公園がこの世の桃源郷であるならば、吉野は花見の名所にふさわしいであろうと思った。



(吉野山のおみやげ店)


(蔵王堂から吉野駅を望む)


中千本公園からおみやげ店を通り蔵王堂を横目に吉野の桜を十分に満喫して駅まで歩いてきた。
だいぶ歩いたので水分を取ろうとポカリスエットを自動販売機で買い、電車に持ち込んで飲んだ。
吉野駅を1607分に発車した近鉄南大阪・吉野線の急行「大阪阿倍野橋」行き電車は、橿原神宮前まで各駅に停まり、そこから古墳を避けながら一路大阪市内をめざした。
ポカリスエットを飲んだせいか途中でトイレに行きたくなったが、通勤電車にトイレは付いていなかった。
途中駅で降りて次の電車を待つほどでもないので、我慢して阿倍野橋まで。
4両編成の急行電車は、古市で2両増結する。
こうして日没前の1743分に終点の大阪阿倍野橋駅に到着した。


(高さ300m「あべのハルカス」)


大阪阿倍野橋駅は、天王寺駅にも隣接しており、昨年の8月に一度訪れている。
その時は飛田新地とあいりん地区を見学したが、その時は見過ごしてしまったものの、ここは再開発で地上300mの「あべのハルカス」が建設されているのであった。
60Fから下を眺めたら、飛田新地もあいりん地区も隠すことなく観光客に見られてしまいそうであるが、果たして問題ないのだろうかと疑問に思う。

2014年春に開業の「あべのハルカス」を地上から簡単に眺め、今度は天王寺駅から地下鉄御堂筋線で、本日のお宿である堂島をめざす。
当初はJRに乗って大阪駅から歩こうかとも思ったが、淀屋橋駅から歩いた方が近いと思い、地下鉄に乗った。
ラッシュアワーの地下鉄は混雑していたが、やはり車両の作りからだろうか、東京都内の地下鉄とは車内の雰囲気が異なっていた。
特に照明や広告の配置が気になり、マレーシアで乗った地下鉄に近い感じがした。

淀屋橋駅に到着して、中之島を通って堂島浜にある全日空ホテルにチェックイン。
日本の旅行サイトで予約すると結構な値段だが、海外のサイトで申し込んだので、一般的なビジネスホテルと変わらない値段で泊まることが出来た。

夜は、この春からお勤めされている友人と食事する約束で、20時に阪急梅田本店の前で待ち合わせた。
彼とはケニアで知り合い、インドや南米も一緒にでかけた。
1年に23回は会い、最近では2月に福島で食事した。
そんな頼れる彼の一押しのお酒である「福寿」をいただきながら、大阪の夜を楽しんだ。
居酒屋を出て、〆に食べた本場大阪のたこ焼きにこんにゃくが入っていたことが忘れられない。
その晩はホテルに一緒に泊まり、もう一度部屋に戻ってから飲み直し、3時過ぎまで盛り上がってしまった。

明日は、今回の旅行の目的でもある、京都の桜を見に行きます。

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